Token という言葉、聞いたことありますか?実はこの言葉、意味がたくさんあるんですが、その中で今日はカルチャーに密接した使われ方に注目してみたいと思います。
目次
Token の普通の使われ方の例
まずは本来の使われ方をご紹介します。本来の使われ方としては、たとえばこんなものがあります。
何かの「しるし」
(あなたの長年の働きに対する感謝のしるしとして、この贈り物を送りたいと思います。)
特定の価値が付加されている券またはコイン
たとえばゲーセンで使えるコインなど、本当のお金じゃないけど特定の機械で使用することができるコインのことです。
または、特定の品物と交換できる券やチケットも Token と呼ばれることがあります。たとえば某春のパン祭りのシールなどもこれにあたります。
ごく少額の料金など
(会員費はいくらなの?)
(ほんのちょっとだよ。形式的なものだけ。)
“Token black guy”とは?
さてここからが本題ですが、今日特に注目したいのは、Token black guy と言った時の Token の使われ方です。
Token black guy というのは、白人ばっかりではなくて黒人も採用していますよ、というアピールをするためだけに採用された黒人のことを指します。たとえば映画の中で、主役級の登場人物は全員白人だけど、キャストが全員白人になってしまわないようにというだけの理由で、無理矢理に登場させた脇役の黒人のこと。ストーリー上必要でも重要でもなく、セリフもほとんどない。そんな人のことを指す批判的な意味を込めたフレーズなんです。
↑ あくまでも主役は白人だけど、、
その現象を指す Tokenism という言葉もあります。昨今は黒人以外のマイノリティも増えてきているので、Black guy に限ったことではありませんが、黒人に対する人種差別が当然だった時代を経て、人種間の平等のための運動が始まった1950年代後半頃から登場したコンセプトのようです。
Token female (男性ばかりしか雇ってないと思われないために雇った唯一の女性)など、人種だけでなく性別に関しても使われることもあります。
ちなみにこれに関連するおもしろい話があります。
2018年に公開されたマーベルの映画「ブラックパンサー」は、黒人中心の世界観とストーリーが話題になりましたが、その中で二人だけ白人キャストがいました。それが、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでゴラム役だったアンディー・サーキスと、「ホビット」でビルボ・バギンズ役を演じたマーティン・フリーマンです。
両方ともトールキン(Tolkien)原作の作品だったため、「ブラックパンサー」の撮影現場では、この二人の白人俳優は冗談で Tolkien white guys と呼ばれていたそうです。(Token と Tolkien の発音はほとんど同じ)
それだけ時代が変わり、今では黒人と白人の立場が逆転する状況も出現してきたということですね。
※マーティン・フリーマン本人がそのことをイギリスのトーク番組で話しているクリップはこちら ↓
https://www.youtube.com/watch?v=peMPZoPRu7E
人種的な多様性はあまりない日本の文化と結びついている日本語には、この Token にあたる言葉はないと思うんですが、言語と文化が密接に結びついている良い例ですね。
言語、特にスラングを学ぶと、その文化を知ることにもつながります。だからスラングはおもしろい!これからも面白い英語のスラングを紹介していきます!
それでは今日はこのへんで!